たまめも

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今蛍光生物が話題!蛍光する理由は?方法は?研究方法がすごかった!

0.はじめに

皆さんこんにちは!

 

管理人の@otama_jacksyと申します!

 


今回は、最近話題の蛍光を発する生物について自分なり*1に調べてみました!

 

一般的には知られていない蛍光生物の進化的な理由やメカニズム、驚きの調査方法についても調べてみましたので、是非ご覧下さい!

 

それではどうぞ!

 

 

 

 

 

1.そもそも蛍光って何?

蛍光(けいこう、fluorescence)とは、発光現象の分類。

  • 最も広義には、ルミネセンスによる(発光)全般を指す。
    • 広義には、ルミネセンスのうち、電子励起源として、エネルギーの高い短波長の光(電磁波)を照射することにより生じる発光を指す(フォトルミネセンス)。この項では主にこの意味以降の蛍光について述べる。
      • 狭義には、広義の蛍光のうち、励起のための電磁波を止めるとすぐ
        に発光が消失する、発光寿命が短いものを指す(厳密な定義は各種ある)。発光寿命が長いものは燐光と呼ぶ(フォトルミネセンス以外のルミネセンス全般でもこのような発光寿命の違いで「蛍光」・「燐光」の使い分けはなされている。)。

蛍光 - Wikipedia

 わかんね~~~~~

 

わからないけど、「光を当てるとその光エネルギーを吸収して別の波長にして返す」ことらしい。違ったら教えて。

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多分こういうことらしい

 

2.森の中で大発見!?モモンガが蛍光した!!

academic.oup.com

 

INTRODUCTION

 蛍光する生物はよくいるけどその生態的意義はよくわかっていないので調べてみました!!

 

METHODS

In May 2017, JGM (auther) made the initial opportunistic observation of fluorescence in G. volans in Bayfield Country, Wisconsin, United States, during an exploratory forest survey of early spring flora and lichens using a handheld LED UV flashlight.

―――――

以下ガバ訳

2017年5月に地衣類の調査のためにUVライトもって歩いて木とか照らして歩いてたらなんかモモンガ(G. volans)が蛍光してた

*2

  1. 夜行性モモンガ3種(Glaucomys oregonensis, G. sabrinus, G. volans; n=109)、昼行性リス3種(Sciurus carolinensis, S. niger, Tamiasciurus hudsonicus; n=26) の標本にUVをあてて写真を撮る
  2. 5人の判定員が蛍光度を0-5点の間で評価
  3. 野生で光っていることを確認しに行った

 

RESULTS

夜行性のモモンガはめっちゃ蛍光したが、昼行性のリスは全く蛍光しなかった。

モモンガ 108/109

リス   0/26

 

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光るモモンガたち (https://twitter.com/kohlermonahan/status/1089329085455699968)

 

種、時期、性別、年、緯度の差と蛍光の強さには関係が見られなかった。

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まさかのNULLモデル採用で泣いた

あと、野生下で観察しても光っていたらしい。

 

DISCUSSION

もしかしたら違う原因で副産物的に光ってるのかもしれない… → でもとりあえず生態学的な理由の仮説を立ててみたよっ!!!

1.薄明りに適応している説
モモンガは夜行性 → 薄明りで生きていくためにUVが見えた方がいい
2.雪が降ると蛍光が有利になる

モモンガは冬眠しない → 雪の中はUVが強いのでUVが見えた方がいい

3.種内のコミュニケーションに使っている

暗い中でお互いがどこにいるかわかる & 配偶者選択に使われる(言及はないんだけど光っていた方がモテるのかな)
4.対捕食者戦略

おなじ地域にいるフクロウも蛍光する(✨🦉✨) → フクロウに擬態している可能性!

 

お気持ち: うーん、1, 2はUVが見えた方がいいねって話であって、蛍光する理由ではないのでは…と思った。

 

3.蛍光生物の子育てって大変!ツノメドリのくちばしの蛍光

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00063657.2018.1563771?journalCode=tbis20

 

INTRODUCTION

鳥もたまに蛍光してるやついるよね~~!性選択じゃないかって言われてたりするけどまだよくわかってないよね!我々も光っている鳥を見つけたので報告するよっ!!

 

METHODS

材料: 死体2個体(死亡理由不明の成鳥)、生体3個体

生体にもUVライト当てたけど鳥専用サングラス作ってガードした😎

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鳥専用サングラスの設計図

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サングラスをかけた鳥 (https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/050200198/?P=2)

 

RESULTS 

死体も生体も同じように蛍光した。

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思ってたよりゴリゴリに蛍光していて笑っちゃった (https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/050200198/)

 

 

DISCUSSION

くちばしが光るのは実は繁殖期だけ → 繁殖に何か有利なのでは?

1.海の中で光って餌を誘因する

ツノメドリは海中で餌の魚をとる → 海の中で蛍光すると魚が寄ってくる*3

2.穴の中で光って雛に給餌しやすくなる

ツノメドリは暗い穴の中で雛に餌を与える → 嘴が光っていると雛が餌をつつきやすい

 

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仮説の図解

ほ………ほんとか?

 

お気持ち: 蛍光と蓄光って違くない?穴の中で光るってそれ蓄光じゃない?ねえ??あとこの論文では触れられてなかったけどパフィンのくちばしの被せもの、多分ケラチンでできていると思うんだけど、ケラチンって元々蛍光物質じゃない?ていうか餌取るためなら年がら年中光ってろよって話なわけ!

 

4.まさかの深海でも蛍光!?サメが蛍光する理由が明らかに!

 

www.sciencedirect.com

INTRODUCTION

海の中は蛍光している動物めっちゃ多いけど、その蛍光分子は緑色蛍光たんぱく質GFP)やそれに似た物質しか特定されていないよね → 緑色に蛍光するサメを使って調べてみました!!

 

METHODS

対象種: クサリトラザメ (Scyliorhinus retifer)、Swellshark (Cephaloscyllium ventriosum)

  1. 2種のサメの皮膚の観察
  2. 蛍光物質の抽出(本当に申し訳ないが私は化学が得意ではないのでここら辺Methods読んでも全然わからなかった。なんかどうにかこうにか抽出したらしい。もうしわけない。)

 

RESULTS

1.皮膚の観察

2種類のサメはどちらも蛍光したが、発光する場所が異なった。C. ventriosumの皮膚上の歯状突起は蛍光しなかったが、S. retiferの歯状突起は蛍光した。小さくて光る歯状突起と大きくて光らない歯状突起の2種類があった。

 

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(A-C) S. retifer, (D-F) C. ventriosum 種によって蛍光のしかたが異なる

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S. retiferの歯状突起 大きくて蛍光していない突起がある(*部)

 

2.蛍光物質の抽出

C. ventriosumの皮膚から8つの代謝物質を得た。S. retiferにも同じ代謝物質があることを確認した。

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得られた8個の代謝産物(あー そーゆーことね 完全に理解した)

これらの代謝物質は蛍光を発した。また代謝物質には抗菌作用があった。

 

DISCUSSION

蛍光に性的二型がある(Gruber et al. 2016)、蛍光は種固有の蛍光パターンがある → 種内コミュニケーション、擬態の効果がある?

抗菌作用がある → 海底に多く生息する菌に対する科学的防御か?

 

お気持ち: はじめて根拠のある生態学的要因が出てきた気がしてちょっと感動した。

 

5.蛍光生物に関するまとめ

いかがでしたか?


今回は、蛍光を発する様々な動物について徹底的に調べてみました!

まだよくわかっていないことが多そうですね!!

よくわかっていなさすぎて全部ディスカッションが混沌としてて面白かったです!!全体的に性選択説が強いのでしょうか。まことに?


しかし、謎が多ければ多いほど研究したくなるもの!!
今後も蛍光生物から目が離せそうにはありませんね!まだまだ伸びしろのある分野なのだと思います!

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

*1:安易に蛍光とかいう物理・化学がっつりなものに手を出してしまって物理・化学苦手ワイ非常にきつかった

*2:これ見つけた人さぞびっくりしただろうな。自分がみつけたらゲラゲラ笑っちゃうと思う。

*3:チョウチンアンコウか?